プロペラ機ならではのフットワークで、各地の空を結びます。
カナダのデ・ハビランド・カナダ社が開発し、後にボンバルディア社が生産を引き継いだQ400は、現在MHIRJ(三菱重工グループ)がサポートを行っている、世界で最も成功した大型ターボプロップ旅客機です。名称の「Q」は「Quiet(静粛性)」を意味し、従来のプロペラ機の常識を覆すほどの静かさと、ジェット機に匹敵する速達性を両立させた革新的な機体として、2026年現在も世界中の地域航空路線で主力機として活躍しています。標準的な座席数は70席から82席で、地方路線における効率的な輸送を可能にしています。
技術的な最大の特徴は、ノイズ・アンド・バイブレーション・サプレッション・システム(NVSS)と呼ばれる独自の騒音・振動低減システムにあります。これは、機体のマイクロフォンで騒音レベルを検知し、これとは逆位相の音波を機内のスピーカーから出すことで、騒音を打ち消すという画期的な仕組みです。これにより、プロペラ機特有の不快な騒音と振動は劇的に抑えられ、乗客はジェット機と変わらない快適な客室環境で移動することができます。エンジンには、プラット・アンド・ホイットニー・カナダ社製のPW150Aを2基搭載。6枚ブレードの大型プロペラと相まって、最高巡航速度は約670km/h(415mph)に達し、短距離路線ではジェット機とほぼ同等の所要時間を実現しています。
Q400は、高い環境性能と経済性も高く評価されています。ジェット機と比較して燃料消費量が圧倒的に少なく、二酸化炭素排出量を大幅に削減できるため、環境意識の高まりとともにその価値は再認識されています。また、短い滑走路でも運用可能なSTOL性能(短距離離着陸性能)を備えており、大型機が就航できないような小型の地方空港や離島路線においても、安定した運航を可能にしています。