双発機の常識を変えた、長距離路線の王者です。
ボーイング777-300ERは、ボーイング社が誇るワイドボディ機「777シリーズ」の中で最も成功し、長年にわたり世界の主要な国際線長距離路線の王座に君臨し続けている傑作機です。名称の「ER」は「Extended Range(航続距離延長型)」を意味し、その名の通り、大型の双発機でありながら約13,649km(7,370海里)という長大な航続距離を誇ります。2026年現在、後継機である777X(777-9)への世代交代が始まりつつありますが、その高い信頼性と完成度から、今なお多くの航空会社で「究極のフラッグシップ」として重用されています。
この機体を語る上で欠かせないのが、世界最強の航空機用エンジンであるゼネラル・エレクトリック社製「GE90-115B」です。1基あたり約115,000ポンドという、初期のジャンボジェット機のエンジン2基分を上回る圧倒的な推力を持ち、その巨大なエンジンカウルの直径はボーイング737の胴体幅に匹敵するほどです。この強力な双発エンジン構成により、かつては4発機(ボーイング747など)の独壇場であった太平洋や大西洋を横断する超長距離路線を、より高い燃費効率と低い運航コストで運航することを可能にしました。また、主翼端に装備された「レイクド・ウィングチップ」は、空気抵抗を大幅に軽減し、重い燃料を積んだ状態での離陸性能と燃費性能を極限まで高めています。
客室空間は、1列あたり「2-4-3」や「3-3-3」、近年では「3-4-3」の座席配置が一般的ですが、その広大なキャビン容積を活かし、各航空会社は贅を尽くしたサービスを展開しています。特に日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)では、長らく国際線の最上位機材として運用されており、扉付き個室タイプのファーストクラスやビジネスクラスを設置することで、空の旅にプライベート空間の概念を定着させました。JALの「JAL SUITE」やANAの「THE Suite」といった世界最高評価を受けるプロダクトは、このB77Wという巨大なキャンバスがあったからこそ実現したものです。